あこがれ初演時コメント  衛紀生氏(演劇評論家)

■ 月に二、三本は若い演劇人たちの舞台を観ることにしている。何の収穫もない年も あるが、今年は早くもユニークポイントという集団と出会うことができた。『あこがれ』という舞台である。なによりも科白のやりとりが断然によい。無駄を削ぎ落としているのである。面識 はないが、山田裕幸という才能に可能性を感じてならない。
■ 十年と少し前に、二十歳 そこそこの柳美里という作家の舞台に遭遇したときと同じ「感じ」なのだ。舞台そのものにはまだ荒削りというか、空間の処理に工夫が必要と思われるが、そ の科白の感覚とそれを膨らませる演出の作法に、並々ならぬものがあるように思えてならない。
■ 今後しばらくは目の離せない集団になりそうである。