特別インタビュー  
銀光りする熾烈な運命よ、
わたしたちの慈愛も罪も/おれたちの恨みも希望も、
有無を言わさずないがしろにしてしまうつもりか。
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演出助手宍戸が、山田にインタビューをしました。
今回は韓国人俳優を招いての公演となりますが、どういった経緯があったのでしょうか?
2005年、韓国に公演に行ったときソンヒ達と出会って、それがきっかけですね。いつか韓国人俳優と芝居をやってみたいとずっと思って。
それはなぜでしょう。
やっぱり、映画とか観ていても、韓国の俳優って格好いいじゃないですか。なんというか、身体に歴史があるっていうか、主張があるっていうか。
実際に稽古をしてみて、どうですか?
うん、やっぱりまず身体が違うよね。それが見ていて面白い。なんでかなあ、魅力があるんだよ。それはもちろん個人の身体能力という意味じゃなくって、やっぱり日本と韓国という環境の違いだと思う。日本人の身体とは違う。
あとは、すべて言葉で伝えなくてはいけないという事かな。なんとなくだけでは伝わらないから、演出家にとっても俳優にとっても、思っていることを全て言葉にして説明していかなければいけない、っていうごくごく自然な事を改めて再認識するよね。しかも難しい言葉ではなく、簡単な言葉になるべくしなくちゃいけない。これは演出家にとっても、相当鍛えられるなぁと。相手にどうやって伝えるかを考える、そこが面白いなと思う。
脚本は戦時中という設定ですが、何故この時代を選んだのですか?
今回韓国人の俳優を招くのでどういうのがいいかと考えていて、それでやっぱり、日本人と、そうじゃない人が一緒に舞台にいるってどういうことだろうって。その後ですね、この時代を選んだっていうのは。大きな嘘ついた方が面白しろいし、スケールも大きくしたかったから。
あとは自分の手の内が分かりつつあるというか、自分が何が得意で何が不得意か分かるところがあって。「これだったら出来るな」と言うことを繰る返さない為にはどうしたらいいのかね。演出家というよりは作家としての挑戦ですね。
歴史を描くのは難しい事かと思いますが、
難しいのは確かですね。ただ、一つ言えるのは最終的に人間を描いているわけだから、当時の人々も悲しみ苦しみは覚えていただろう、というのが信用に足るところで。これが人間じゃないものを描いていたら別ですけど。演劇は人間を描く芸術ですから。そこは信じていますよね。現代を描くとあんまり嘘もつけないですが、こういう物語っていうのはある程度嘘がつけるというか。もちろん、資料にはあたってるし、まったく嘘ではないけど、想像するしかない部分ってやっぱりあって、それが面白いなと思います。まあ、間違いはあると思いますが、ただ近づく努力は最後までします。
あとは今「演劇の言葉」についてを考えていて、今、興味があるのは、普段の「日常会話」からどうやって離れていくかっていうこと。日常では使わない口調、演劇の言葉を使うのは凄く面白いですね。
今回の作品について
僕がいい話が好きじゃないので、どうしても何処へもいかないというか、答えを出すのは出来るけど、答えを出すのは嘘っぽいと思うからね、やっぱりこんな感じになるよね。でも、言葉に出来ないから、演劇にしているわけでしょう?よく考えると。だから、リアルなんだと思うんですね、こういうことを。
今までのユニークポイントの作品がそういう感じですよね
だからラストシーンは別の人に書いてもらっても良いかなって、全然違うんじゃないかなあ。その方が、実はお客さん喜ぶかもしれない(笑)。でもね、別にラストシーンが重要じゃないんですよ。ただ最低限、演劇的なカタルシスみたいなものは、必要だと思うし、まあそれは最低限考えてますけど。丸く収まるのは、あんまり好きじゃないからね。
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