ロゴユニークポイント静岡公演 『いのちもてあそぶひと』

2011年/7月29日(金) アトリエみるめ 19:30開演
7月30日(土) 栄光教会島田礼拝堂 19:00開演

鉄道線路脇の土手で、偶然出会った男ふたり。
自ら命を絶とうと出向いてきた彼らだが、お互いの身の上を語り合ううちに、死ぬことへの戸惑いが浮かんでくる。


島田公演より (北見直子)
舞台写真をアップしました!!  みるめ舞台写真 | 島田舞台写真


公演当日に配布した文章です。

<アトリエみるめ版>
こんにちは。2009年秋に引き続き、またこのアトリエみるめで公演ができてうれしく思います。この作品は、今年の4月に、東京・板橋にある私たちのアトリエセンティオで上演した作品です。岸田國士の「命を弄ぶ男ふたり」を原作に、バタバタしたにぎやかな芝居でもやろうと思い台本を書き始め、全体の3分の1ほど書き終わったときに、3月11日がやってきました。

圧倒的な自然災害を前にして、演劇はあまりに無力に感じられました。演劇なんか、やる意味があるのだろうか?いったい誰に必要とされているのか?と思いました。上演中止もふと頭をよぎりましたが、3月11日から数日たち、途中までできていたこの作品の読み合わせしたとき、すーっと私たちのからだに、血液が流れる感じがしたのです。そうです。何より、演劇を欲していたのは私たちだったのです。

私は迷わず上演を決め、日々更新される死者の数を横目で見ながら、この台本を書き上げました。この台本を完成させ上演すること以外、私には何もできることはありませんでした。

何もかもを一瞬で奪いさったあの津波・・・太陽が沈んでしまった「夜の動物園」のように、私たちの国は一瞬で大切な何かを失ってしまいました。失った太陽になろうなんて思いませんが、せめてこの作品が、私たちの未来を考える、ささやかなきっかけになればと思っています。本日はありがとうございました。

<島田礼拝堂版>
こんにちは。ユニークポイントといいます。普段は東京で活動をしています。今日ご覧いただく作品は、今年の4月に、東京・板橋にある私たちのアトリエセンティオで上演した作品です。1925年に書かれた岸田國士(岸田今日子さんのお父さんで、文学座の創設者)の「命を弄ぶ男ふたり」を原作に、バタバタしたにぎやかな芝居でもやろうと思い台本を書き始め、3分の1ほど書き終わったときに、3月11日がやってきました。

圧倒的な自然災害を前にして、演劇はあまりに無力に感じられました。演劇なんか、やる意味があるのだろうか?いったい誰に必要とされているのか?と思いました。上演中止も頭をよぎりましたが、3月11日から数日たち、途中までできていたこの作品の読み合わせしたとき、すーっと私たちのからだに、血液が流れる感じがしたのです。そうです。何より、演劇を欲していたのは私たちだったのです。私は迷わず上演を決め、日々更新される死者の数を横目で見ながら、この台本を書き上げました。台本を完成させ上演すること以外、私たちには何もできることがなかったのです。

今回この作品を、この素敵な礼拝堂で上演させてもらうことができ、本当にうれしく思います。なんだか、まるで始めから、ここでの上演のために、この作品が創作されたとすら思っています。いのちについて考えるこの芝居が、ここで上演できるだなんて!

何もかもを一瞬で奪いさったあの津波・・・太陽が沈んでしまった「夜の動物園」のように、私たちの国は一瞬で大切な何かを失ってしまいました。震災で亡くなった多くの人の魂に、愛するものを失った方に、この作品を捧げたいと思います。
本日はありがとうございました。この上演のために、尽力をいただきました皆様に、御礼を申し上げます。


■原作 岸田國士『命を弄ぶ男ふたり』 大正14年(1925年)
■脚本・演出 山田裕幸
■出演 古市裕貴 北見直子 ナギケイスケ 若林瑞季
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