ユニークポイント公演
青年の恋
2001年8月24日(金)〜29日(水)
下北沢 OFFOFFシアター
作・演出 山田裕幸
出演 久保田芳之・山路誠・泉陽二(東京オレンジ)・杉山冴子・大枝佳織(KAKUTA)・成川知也・池尾希


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上演にあたって

 この青年の恋という作品は、1995年(もう6年前になります)に書きました。当時、まだ私は学生で、作劇に関してはまだ素人同然、ただ演劇への情熱だけで演劇と向かい合っていたのでした。

 今回、脚本の90パーセント以上は書き直しましたので、改まって再演という感じはしないのですが、それでも当時の脚本を読み返してみますと、「俺はこういう芝居が観たいんだ!」という思い込みがもの凄い。自分自身のものでありながらも、過去の自分に向かって、「どうして君はこんなに思い込みの激しい、ストレートなものを書けるの?」と訊いてみたくなったほど。そんなことをぼんやり考えているうちに、私の思考は「何で演劇なのか」という問いに、やはり、達していたのでした。

 それから色々な方向に興味がわき、色々な人と、色々なタイプの作品をつくってきたけれども、それは一体何だったのか。きっとこの「青年の恋」という作品にもう一度取り組むことで、何か分かるかもしれない、こう思ったのです。

 数ある劇場の中から、このOFFOFFシアターという劇場を選んだのも、そんな理由からでしょうか。この小ささ、この狭さ、この天井の低さ、どれをとってもこの作品のためにあるような空間のような気がしてなりません。お客さまには窮屈な思いをさせてしまいますが、俳優達も同じように、狭い楽屋で肩を寄せ合い、今まさに開演を待っているはずです。

 この凝縮された空間に、しっとり濡れた、豊かで刺激的な時間をみなさまと過ごせましたら、作者および主宰者として、これ以上の喜びはありません。

 この国は、どうなっていくのか。
 演劇で国を救おうだとか、変えようだとか、そんなことは思いません。でも演劇というものは、この21世紀という時代において、私たち人間が、最も理解不能で謎に満ちた領域に、少しだけ触れることのできる、とてもダイナミックで繊細なものであると思います。
 そんなことを思いつつ、稽古に明け暮れたこの夏でした。

 ではごゆっくりお楽しみください。(公演パンフレットより)             
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