ホテルロンドン
#2014年11月29日・30日
#学習院女子大学やわらぎホール
pafe.GWC2014 参加
ある殺人事件の関係者への聞き取りで構成された作品。芥川龍之介の「藪の中」をモチーフに、それぞれの証言が食い違う。事件に関係する者のモノローグから浮かびあがるその人は、いったい誰だったのか。
この学習院女子大学での演劇祭と、これほど長い付き合いになるとは想像もしていませんでした。最初にかかわったのが2005年、学生たちと「女子大生が行く」という作品を、このやわらぎホールで上演しました。この10年、当然のように毎年学生たちは社会人になり、新入生が加わりましたが、私だけが動かずにこの場に今年も関わっています。私もまたその間に結婚し父になりと、公私ともに多少の変化はあったものの、それはこの場所に流れる変化とはまったく異なるもので、私は彼女たちの青春の時間に少しだけお邪魔しながら過ごしてきたのだなと今になって思うのです。それからpafe.GWCの記憶は、いつもこの美しい初冬のキャンパスとともにありました。
さて10年目のpafe.GWCの最後の演目「ホテルロンドン」は、15名の独白で構成されたお芝居です。埼玉のS高校で国語の教師をしていた「渡辺泰子」がある夜、池袋のラブホテルで殺された。事件は彼女が教師の傍ら、池袋で風俗嬢として幾人もの顧客を持っていたことを明らかにします。彼女はなぜ風俗で働いていたのか、なぜ殺されたのか、誰が彼女を殺したのか?芥川龍之介「藪の中」ばりに、真相は深い藪の中へ・・・
ちょっと前までは、真実はきっとどこかに存在すると思っていましたが、最近では、真実は人の数だけ存在するものであり、絶対のただしさのようなものの存在を疑うようになりました。これを単に老化と呼ぶなら、たぶん老化なのでしょう。最後までお楽しみただければ幸いです。
(文 当日パンフレットより/山田裕幸)
Photo gallery
Cast / Staff
北見直子 古市裕貴 古澤光徳 若林瑞季 高田愛子
演出助手 水田由佳
協力 舞台芸術部の皆様 + 実習生の皆様