王国で殺して

王国で殺して

作・演出 山田裕幸

#2019年2月22日~24日

#白子ノ劇場

救いたい医師、拒否する親。両者の間に横たわるのはお互いの正しさ。大声で叫んでも相手に届かない絶対。

現代社会には、正解の出ない問いが増え続けています。お互いの「正しさ」を主張する人を描き、その解決方法の難しさを描きました。

これからご覧いただく作品は、今から30年以上前の1985年に実際にあった「輸血拒否事件」がモチーフになっています。宗教上の理由で助かるはずの息子の命を、輸血を拒否したことにより失った信者の家族――――ずいぶんバッシングがあったようです。信じられない、それでも親か、宗教は怖いものだ・・・などなど。

その後、オウム真理教による地下鉄サリン事件が1995年に、アメリカ同時多発テロが2001年に起こりました。いずれもある思想のもと、人間が取った行動です。

ご存じの通り、オウム真理教の死刑囚の刑の執行は、教祖を含め、昨年7月に一斉に行われました。政府関係者の話として「平成のうちに終わらせたかった」との報道もありました。そんな理由かよ、とも思いますが、刑事訴訟法第475条第2項には「死刑判決が確定してから6か月以内に死刑が執行されなければならない」とありますから、粛々と執行した、ということなのでしょう。

死刑制度への是非や、宗教、信仰と法などについては、みなさんにも、それぞれのお考えがきっとあることでしょう。それらの議論に関しては、私より知見の備わった有識者の方にお任せするとして、これからご覧いただくのは、もしかしたら「私」だったかもしれない個人的なお話しです。

あの時どうすればよかったのか、後で振り返ることと、もし「私」がそこにいたら、どう過ごしたのかを考えることは、まったく違います。演劇は、個人の視点から出来事を描くことができます。もしそこにいたのが「私」だったらどうしたか、どのような振る舞いをしたのか、作品を通じ一緒に考えてみたいと思います。

議論を怖がって結論ばかり急ぐあまり、置き去りにしてしまった平成の、そして昭和の人たちのことを、いなかったことには、やはり僕にはできません。刑が執行されて終わりではなく、その問いは今も「私」の問題として横たわっています。
(文 当日パンフレットより/山田裕幸)

上演記録

  • 2022年2月5日〜7日 白子ノ劇場
  • 2019年2月22日〜24日〈初演〉 白子ノ劇場

Photo gallery

王国で殺して 王国で殺して 王国で殺して 王国で殺して 王国で殺して 王国で殺して 王国で殺して 王国で殺して 王国で殺して 王国で殺して 王国で殺して 王国で殺して 王国で殺して 王国で殺して 王国で殺して 王国で殺して 王国で殺して 王国で殺して 王国で殺して 王国で殺して 王国で殺して 王国で殺して 王国で殺して 王国で殺して 王国で殺して 王国で殺して 王国で殺して 王国で殺して 王国で殺して 王国で殺して 王国で殺して 王国で殺して 王国で殺して 王国で殺して

Media

Cast / Staff

安藤(内科医)  ・・・泉陽二
千葉(整形外科医)・・・ナギケイスケ
吉野 ・・・山田愛
佐久間・・・古市裕貴

照明 伊東千晶
美術 ナギケイスケ
舞台撮影 半田武祢夫
協力 大岡舞 露木凛 小林大峰 長南汐美 てらしまかおり 大石和幸 小林優太郎 甘静堂(敬称略)
劇団スタッフ 北見直子 古澤光徳 水田由佳
主催 一般社団法人ユニークポイント