短めの作品を２作品連続で上演しました。コロナの足音が一歩ずつ近づいてくるなかでの公演でした。

これからふたつの作品を連続してご覧いただきます。どちらも、それ単独で上演するには少し短いかなあ、と思って企画してみたのですが、並べてみると、まるで最初から狙っていたかのような感じがするから、不思議です。

いのちもてあそぶひとは、2011年4月に最初の上演を行いました。東日本大震災からちょうど一か月後のことでした。まもなく３・１１から9年がたとうとしています。あの日、なんとか力になりたい、寄り添いたい、と思いながら上演していた私のココロは、今はずいぶん変わってしまいました。世界は一度リセットされてしまったはずなのに、今日も変わらず日常を生き続けている私自身の欺瞞に、稽古を通じて何度も向き合うことになりました。

アンダンテは、劇団員二人のために書き下した作品です。爆弾処理など危険な仕事に従事する人のなかには心拍が上がらない人が多い、という新書のワンフレーズから構想したものを、今回、異なるキャストで上演します。

演劇には一瞬ですべてを変える力はありませんが、それでも演劇にしかできないことはやはり今もあることを信じて、これからも続けていこうと思います。

本日はご来場、ありがとうございます。
（文　ごあいさつ／山田）