クリスマスのお話だったので、クリスマスに再演しました。
劇団史上、もっとも短いスパンでの再演です。
この作品は、本年の2月に白子ノ劇場のこけら落としとして上演された作品です。なので、今回は2度目の上演ですね。日本の演劇界っていうのは、新作至上主義と言わることが多く、常に新しい作品を生産し続けないとならない。なのでシェイクスピアの作品をやるより、気鋭の劇作家の新作の方が、やや強いわけです。強いというのは、主に助成金をはじめ公的な支援を受けるときの話です。おそらく今、私たちが「リア王」をやりますといっても、なかなか公的援助は受けにくいのが現状です。公共は、いま抱える社会問題を解決することのできる作品を、なにより求めています。それが公的なお金を支出する根拠だからです。なので「リア王」を上演するときは「リア王」が現代社会の抱えるどのような問題を解決するのかをきちんと説明できなければなりません。つまり上演より、まずはその作文能力が求められるのです。まあ、演劇で社会の問題が簡単に解決できるとは思わないけれど。
なのでこうやって、一度上演した作品を再演することは、現状はなかなか難しいことです。なかなかお客さんも来ないし、公的支援も受けにくいので、プロデューサーとしてはいいことがない。だけど私たちには白子ノ劇場という発表の場があり、そういう意味では、あまりお金をかけずに創作ができるので、気楽に再演をすることができます。そして作品を再演するということは、私たち実演家にとって、観客のみなさまにとって、面白い演劇の楽しみ方だと僕は思うのです。スルメは噛むことに味がしてきますよね。演劇作品も繰り返し上演することで、より深まり、円熟味が増していくと思います。演劇は小さな営みで構わないのです。今日ここに集まっていただいたみなさまと、ささやかに作品を共有できる喜びをかみしめています。初演をご覧になった方も、今回がはじめての方も、どうぞ「ひかりのおもさ」お楽しみください。そしてまた来年のクリスマスの上演まで元気にお過ごしください。
(文 ごあいさつ/山田裕幸)
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Cast / Staff
村上学 ・・・古市裕貴
村上風子・・・山田愛
主催 一般社団法人ユニークポイント