紙風船

紙風船

作 岸田國士 / 演出 山田裕幸

#2023年11月11日~13日

#白子ノ劇場

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あたし、日曜がおそろしいの。岸田國士の短編「紙風船」(1925年発表)を、夫が過去を振り返るという演出で上演し、静かな感動を呼びました。

 紙風船は約100年前(1925年)の戯曲だ。今日の客席にいるどなたも生で観たことのない時代に発表された戯曲だ。今回、俳優と稽古を重ねながら思うのは、やっぱり人は変わらないな、ということだった。

 病気になった人が「健康のありがたみがわかった」とよく言うが、それはそのまま人間関係にも言えると思う。夫婦や家族というのは「いて」当たり前なので、いなくなった途端にイロイロなことに気づく。

 問題を一番簡単に解決するための方法は「そこに問題がないように振る舞うことだ」とある方が言っておられた。劇作家というのは問題でないことを、あえて問題視する職業かもしれない。そういう意味でこの紙風船における岸田國士の仕事は劇作家としてまっとうな仕事だったし、近代戯曲の父と呼ばれる所以である。日常の夫婦の在り方を題材にするなんて、誰もそんなことを演劇にしようなんて考えなかった。

 100年後の人たちが僕の戯曲を上演している様子を想像するとそれは確かに不思議だ。その様子をこの目で見ることはできないが、僕も人の営みというものを丁寧に書いていきたいものだ。相変わらず現実の世の中は問題だらけでうんざりするが、それをないもののように振る舞う「何か」にはおおいに抗らおうと思うのだ。

 本日はご来場ありがとうございます。最後までごゆっくりご覧ください。
(文 当日パンフレットより/山田裕幸)

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Media

Cast / Staff

夫・・・古澤光徳
妻・・・西山仁実

技術全般 ナギケイスケ
受付 露木凛
スチール 半田武祢夫
主催 一般社団法人ユニークポイント